
妖魔滅伝・団右衛門!
第9章 最終決戦・団右衛門!
「団を殺すなら、まず私を排除してからだ。私は死んでも、この手を離すつもりはないがな」
「嘉、明……」
嘉明は団右衛門に身をしっかりと寄せ、心臓や首、頭も庇っている。八代の大きな手でそのまま殴れば、殺してはならない嘉明も巻き込むのは確実だった。
だが何より気に食わないのは、庇うためとはいえ身を寄せ合っている事そのものだ。八代が抱き締めると身を硬直させる嘉明が、団右衛門には自ら腕を伸ばす。八代が欲してやまない温もりを無償で得られる団右衛門が、八代は憎くてたまらなかった。
「……離れろ、嘉明」
八代は地を這うようなうなり声を上げ、団右衛門を睨む。だが嘉明は手を離さない。そして団右衛門も更に身を寄せ、頬に口づけるような動作を見せた。
「離れろと言っている!!」
八代は激高し、傷付ける危険も忘れ、嘉明の頭を掴み団右衛門から引き剥がす。頭に血が上り、冷静という言葉を忘れ去っていたのだ。そのせいで、団右衛門が嘉明に呟いた言葉を、すっかり聞き逃していた。
『もう少しだけ、時間があれば』
八代は嘉明を握りつぶすほどの強さで抱き締め、唇を奪う。鬼の毒が嘉明を危険に陥れる事も忘れ、全て奪おうと貪った。
