
妖魔滅伝・団右衛門!
第9章 最終決戦・団右衛門!
拒もうとしても許されず、注がれる毒。だが動きを封じる事が、八代にとっては目的ではない。
「さあ……儂を見ろ、儂に溺れろ! 嘉明のその優しさを、儂にも捧げろ!!」
八代は嘉明を地面に叩きつけると、馬乗りになり首を押さえる。だが、嘉明は息を荒げても、服従の瞳は向けなかった。
「ふざけるな……何が優しさだ!! お前は我が同朋を殺し、傷付け、陥れ踏みにじった! そんなお前にくれてやる慈悲などない!」
「この儂が好きだと言っているのだぞ!? 餌ではない、妻にしてやると言っているのだ、そこまで情けを掛けられて、なぜ嘉明はそれを返そうとしない!」
「――私はそのような、傲慢な者が大嫌いだ!!」
嘉明のこれ以上ない拒否に、八代は体をぴくりと震わせ固まる。嘉明はそれに気付かず激情のまま、八代に罵倒を浴びせた。
「この儂が? 妻にしてやる? 貴様は何様のつもりだ! 人の力を掠め取るばかりで努力もせず驕り、人を物のように語るな!」
「嘉明……」
「お前のような者は今こそ調子の良い事を言うが、後に私より素晴らしい人間が現れれば、すぐに私を切り捨てそちらに乗り換えるだろう。所詮お前にとって人間など、奴隷でしかないのだからな!」
