
妖魔滅伝・団右衛門!
第9章 最終決戦・団右衛門!
「八千代の事は? あんた、話したのか?」
「いえ、私はあの鬼――あの者の事情についてはよく知りませんから。団さんに丸投げしますとお話ししました」
一二三は団右衛門に、替えの着物を差し出し、頭を下げる。
「ありがとうございます、団さん。これで、あの村の人間も……母も、無念が晴らせたでしょう」
「一二三……」
「さ、明さんは厩です。早く行って、全てに決着を着けましょう」
一二三もまた、鬼の被害者である。残された者の怒りもまた、刀は浄化したのだ。団右衛門は小さく頷くと、一二三と握手し着物を受け取った。
団右衛門が着替えて厩に向かうと、ちょうど嘉明は馬番達、そして一人の童と話をしていた。
「お前が喜助か。なるほど、太助によく似た、良い目の持ち主だ」
団右衛門は声を掛ける機を失い、外から様子を覗き、聞き耳を立てる。大人達に囲まれた童は、とても良い目とは思えない怯えた眼差しをしていた。
「太助は、かつての私によく似ていた。あれが話す言葉を聞くたび、私は過去を思い返し懐かしい思いをしていたのだ」
「こ……光栄です」
