
妖魔滅伝・団右衛門!
第9章 最終決戦・団右衛門!
「私には弟もいてな、喜助、お前を見ているとあの頃の弟を思い出すようだ」
嘉明はしゃがみ、童と視線を合わせると手を握る。
「大事な兄を、守ってやれなくて済まなかった。私では代わりにはなれないかもしれないが……太助が今までお前を想った分、未来想おうとした分まで、私が守ると誓おう」
すると童は涙を零し、言葉に詰まりながらも話し出した。
「あ、ありがとう……ございます。でも、ぼく、兄上と違って、何も出来なくて……」
「何か出来なくては人でないと? 人は皆、初めは赤子だ。一人で立つ事もままならない状態から、周りの人間に守られ教えられて大きくなるのだ。お前は何も出来ないのではない、何でも出来るまっさらな身なのだ」
嘉明は童の頭を撫でると、立ち上がり馬番達に目を向ける。
「お前達にも、迷惑を掛けた。このような不肖の身であるが、これからも力を尽くしてほしいと願う」
「そんな、当然です! 太助は、命を張って城の皆や馬を守ったんでしょう!? そうでなきゃ、城は壊滅してるはずです」
「なら、太助のためにもあっしらが頑張らねえと!」
