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妖魔滅伝・団右衛門!

第9章 最終決戦・団右衛門!

 
 真摯に対応する嘉明に応えようと、周りの人間は皆胸を張り前を向こうとしている。嘉明もまた、当主らしく強い瞳を崩す事はなかった。

(……大丈夫そうだな、アイツは)

 団右衛門は一番小屋から目を離すと、厩の壁にもたれ溜め息を吐く。団右衛門にとって、ここで亡くなった少年は接点のない赤の他人だ。しかし嘉明は、自分に似ていたと言うくらい懇意だったのだ。その死が、辛くないはずがない。だが嘉明はそれを飲み込み、皆を安心させようと動いているのだ。

(オレの責任――か)

 団右衛門は、胸を支配する重圧に目を閉じ肩を落とす。嘉明は、誰かに言われなくとも責任を果たそうとしている。団右衛門も、覚悟を決めなければならなかった。

「団?」

 思い耽っていると、不意に声を掛けられ団右衛門は肩を震わせる。顔を上げると、無愛想な嘉明の顔が、そこにあった。

「目が覚めたのか。こんなところで考え込むなど、お前らしくないな」

「……嘉明」

 真っ直ぐで大きな瞳を、今の団右衛門は直視できず俯く。そして目をそらしたまま、団右衛門は口を開いた。
 

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