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妖魔滅伝・団右衛門!

第9章 最終決戦・団右衛門!

 
「あのさ……今、時間取れるか?」

「――ああ。お前には聞かなければならない事も山程ある。腰を据えて話そうではないか」

 嘉明は一度厩の人間に声を掛けると、城の中へと戻る。そして人払いをして、団右衛門と向き合った。

「さて、体は平気か? もう辛くはないか」

「ああ……一二三がついてたからな。もう平気だ。あんたこそ、その……大丈夫なのか」

「大事ない、と言いたいところだが、一つ確認したい事がある。鬼は、男を孕ませる事が、出来るのだろうか」

「は?」

 予想もしていなかった質問に、団右衛門は素っ頓狂な声を上げてしまう。しかし嘉明は唇を噛みしめていて、思った以上に気にしているようだった。

「前に、鬼の精には力があると言っていただろう。その力がもし、その……そういう力だとすれば、私は――」

 それは見当違いな心配であるが、八代が嘉明にそんな心配をさせるような事をした証でもある。重い胸の中に怒りと嫉妬が走るが、もうその相手はこの世にいない。深く息を吐き頭を冷やすと、団右衛門は軽く答えた。

「んなもん無理に決まってんだろ?女ならともかく、男にゃそんな機能ねぇんだからさ」
 

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