
妖魔滅伝・団右衛門!
第9章 最終決戦・団右衛門!
嘉明は平然としているが、団右衛門の言葉を聞くと小さく息を吐く。
「鬼の精に込められてるのは……人を鬼に変質させちまう力だ。完全に変わるには何十年と掛かるが、何度も精を受けると肉体年齢が止まり、いずれは鬼になっちまうんだ」
「……それを知れば、欲深い人間の鬼狩りが始まるな。なるほど、だから退魔師の禁則事項だったのか」
一度は気を抜いた嘉明だが、続いた言葉にまた気を張り出した。わざわざ禁則事項を打ち明けた、つまりそれは、それだけの事を説明しなければならないという事なのだから。
「順を追って話す。今回の件、始まりは50年も前の話だ。八代は――」
団右衛門は八代の足取り、そして八千代の正体、目的と暗躍も、全て嘉明に打ち明けていく。そして八千代の死が、団右衛門の招いた結果である事も。
嘉明は黙して、時々頷き団右衛門の話を聞いていく。しかしある程度予測はしていたのか、悲壮な影を濃くしながらも、表情は変わらなかった。
「――これが、オレの見てきた全てだ。八千代は、もういない。オレが……殺したんだ」
「……そうか」
