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妖魔滅伝・団右衛門!

第1章 夜討ちの退魔師団右衛門

 
「分かった。じゃあ……死ね!」

 団右衛門は躊躇なく踏み込み、八代に一閃を浴びせようとする。八代が後ろに飛び退いたためそれは空振りとなるが、団右衛門は引かなかった。

「しゃらぁぁ!!」

 大柄な鬼は、嘉明を盾にしても的が大きい。着流し一枚は動きやすく、団右衛門は神速の立ち回りを見せる。正面からの攻撃は囮、側転して横に回ると、低い位置から八代を斬り上げた。

「ちっ!」

 足から腰にかけて、肉が裂かれ青い血が噴き出る。傷はますます八代を鈍くして、格好の的にした。

 普段、刀の傷など八代にとってはささくれのようなものである。しかし経文が刻まれた破邪の一撃は、妖力を確実に削いでいく。軽くとも次々と浴びせられる太刀は、八代を追い詰め苛つかせた。

「――動くな!」

 八代は嘉明の喉に片手をかけ、締め付ける。守るべき相手に危害を加えられれば、団右衛門の神速も止まるしかなかった。

「ぐ……かはっ!」

 首を絞められ、嘉明の顔色はみるみるうちに青くなっていく。すると八代は、もう片方の手を嘉明自身に回した。

「動けば……嘉明を、殺す! 手に入らないのなら、いっそ殺して食った方がいい」
 

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