妖魔滅伝・団右衛門!
第10章 さよなら団右衛門
「どうしてそこまで、お前は私を拒む」
隣に座った嘉明は、膝を抱えながら訊ねる。
「別に……元々あんたを守るのが、オレの契約だ。鬼は倒したし、あんたは強い。オレがいなくても、大丈夫だろ」
「お前には、私が強く見えるのか」
「強いだろ!? 本当なら自分だって辛いのに、そんな顔一つしねぇで家臣と話してる! それに……オレだって、許してくれた」
団右衛門は自分の両手を見つめ、八千代を思い返していた。八千代を鬼から解放し、浄化したのは団右衛門の功績だ。だがその八千代を鬼に変えたのも、また団右衛門なのだ。
「八千代があんたを支えに生きてるなんて、初めて会った時から分かってたんだ。その嘉明をオレのもんにしたいと思ったら、八千代がどう思うか――それも、考えればすぐに分かったんだ! けどオレは考えなかった。オレの気持ちだけで、嘘までついてあんたを独占した」
「嘘……?」
「退魔師の精に破邪の力があるなんて、真っ赤な嘘だ。あんたが綺麗で、眩しくて、欲しくて欲しくてしょうがなかったから、出任せ言って抱いたんだよ!」