テキストサイズ

妖魔滅伝・団右衛門!

第2章 嘘つき団右衛門

 
「そろそろいいだろ。あんたが今一番欲しいもの、くれてやる」

 触れられていないにも関わらず、団右衛門自身も準備は整っていた。鬼と張り合える剛直を嘉明にひたりと当てると、ずい、と沈め始めた。

「ああああっ!」

 下から打たれる雷に、嘉明の目が見開かれ涙が零れる。だがそれは苦痛の涙ではなく、待ち望んでいた感触への喜びだった。嘉明の足は無意識に団右衛門の腰に絡み、深く受け入れようと動く。健気な動作が愛おしくて、団右衛門は嘉明の頭を撫でた。

「可愛いじゃないの……気をやっちまったら、たまらねぇ顔するんだろうな」

 平素なら欠片も喜ばない言葉だが、嘉明の心臓は妙に高鳴る。快楽の中に、甘い蜜が混じるようであった。

 団右衛門は腰を引き、抜ける程引き出してから強く突き入れる。八代がそこを破った時は激痛も伴っていたが、優しくすると宣言した通り、団右衛門の挿入に痛みはなかった。

「っ、ぅんっ!」

 ぱちんぱちんと交わるたびに立つ淫らな音は、耳からも快楽を起こす。嘉明の頭の中に、もはや治療という概念はない。ただ目の前の刺激に腰を振り、子猫のように鳴いた。
 

ストーリーメニュー

TOPTOPへ