
妖魔滅伝・団右衛門!
第2章 嘘つき団右衛門
まさに精魂尽き果てた嘉明は、全身に走る痛みに辟易しながら布団に突っ伏す。対し団右衛門は長い時を濃密に過ごしながら、汗に塗れながらも疲れた様子はなかった。
「おっと、そのまま寝ちまったら後が悲惨だぜ? 拭いてやるから、ちょっと待て」
幸い、八千代が汲んできた水があるので世話には事欠かない。団右衛門は手拭いを濡らし仰向けで寝転ぶ嘉明の頭を膝に乗せると、首筋にそれを当てた。
甲斐甲斐しく世話をするのは、団右衛門の性ではない。しかし身を任せる嘉明の重さは不思議と心地良く、面倒を感じなかった。
「運命――だな」
どんな相手を前にしても感じる事のなかった高鳴りは、団右衛門の口元を緩ませる。そして、目を閉じ手拭いの冷たさに浸る嘉明を見ていると、止まらない熱が胸を駆けた。
「ん……っ」
身を清める、にしてはしつこく擦られる突起。嘉明は団右衛門を睨み付け、文句を零す。
「もう無理だ。やめろ」
「無理って、何が? オレはただ、あんたの体を綺麗にしてやってるだけだぞ」
「分かっていて白を切るか――っぁう!」
