テキストサイズ

妖魔滅伝・団右衛門!

第2章 嘘つき団右衛門

 
 水の冷たさが、擦られる熱をより鮮明に浮かばせる。嘉明は口で怒るが、自由なはずの手は動かないまま。つまり「察しろ」という事だと解釈した団右衛門は、へらへら笑いながら嘉明をうつ伏せにした。

 そう言えば背中の性感帯はまだ知らないと気付き、団右衛門は拭いているような体で探る。そうしている内に、嘉明の下半身はまた勃ち上がり血潮がたぎっていた。

(このまま後ろから突っ込んだら、いい声で鳴くんだろうな)

 うつ伏せになった事で露わになる嘉明の受け口は、まだ団右衛門の精で溢れ濡れている。問題は、団右衛門自身が精を失いすぎて、芯を保てない事だった。

(……まあ、いいか。また今度で)

 団右衛門は自分の充足より嘉明の機嫌を取り、中に突き入れるのは自身ではなく指にした。

「あっ! 待て、何をする……」

「また入れようって腹じゃない。掻き出さないと、腹下すだろ」

「掻き出す……? それでは、わざわざ私がお前に抱かれた意味がないだろう」

 団右衛門は嘉明に指摘されて、これが治療を騙って行った行為だと思い出す。だが、もう何度も口から出任せを繰り返しているのだ。今さらたじろぐ心はなかった。
 

ストーリーメニュー

TOPTOPへ