
妖魔滅伝・団右衛門!
第3章 加藤と加藤と団右衛門
「猫又と言ってもやっぱり猫だから、性格は様々なんだよ。こいつは危害さえ加えなきゃ、懐く気性の猫だろう」
八千代はそれでも訝しげな表情だったが、ひとまず過剰な警戒を解く。嘉明はそのまま猫を撫でながら、団右衛門に訊ねた。
「して、用とはなんだ?まさか猫又を見せに来ただけではあるまい」
「ああ……実はな」
団右衛門は、行方不明だった者が遺体で見つかった事、彼らは一人ずつ時間を置いて殺され、なぜか体に刀傷があり心臓も取られていた事を報告する。そしてこの事件、鬼と人が共犯者でなければ起こらないはずの状況である事も。
「八千代、最近記憶が途切れる事はないか? あんたは可愛い顔をしてるせいか鬼が執着してるみたいで、心配だ」
「いえ……ぼくは平気ですし、乗っ取られてもいないと思います。一応、他の小姓にも聞いてみてください。多分、抜け出した事実はないと思います」
「そうか。じゃあ……オレ達の知らない別の誰かが、鬼と繋がってるのかもしれないな。この城の人間は大体顔を合わせて安全を確認したはずだから、その人間は外にいるはずだ」
