
妖魔滅伝・団右衛門!
第3章 加藤と加藤と団右衛門
「まあとにかく、俺は引き続きあんたを警護しつつ、鬼の行方を追う。くれぐれも、外から来た奴には注意しろよ」
「そんなにしつこく言わなくても分かっている――」
するとその時、襖の向こうから声がかかる。嘉明が声を掛けると慌てて小姓が入ってきて、嘉明にひれ伏しながら口を開いた。
「申し上げます。殿にお目通り願いたいと、加藤清正様がいらっしゃいました」
「清正が? こちらに来ると聞いてはいないが?」
その報告に、嘉明は首を傾げる。と、同時に、団右衛門は小姓の肩を押さえ聞き返した。
「加藤清正って、あの加藤清正!? 賤ヶ岳の七本槍で、すげぇ強いって噂の!?」
「は、はい。その加藤様です……」
「オレ一度会ってみたかったんだよ! とにかく強くて、しかも知恵もあるんだろ? そんな主に仕えたいって思ってたんだ」
目を輝かせる団右衛門の着物の端を引っ張り、八千代は苦い顔を浮かべる。
「団さん! ちょっと自重してください。嘉明様が……」
「ん?」
ふと気付けば、嘉明の眉間には深い皺が刻まれ、明らかに苛ついた顔をしている。すると八千代は、今度は嘉明に笑顔を向け、慰めの言葉を掛けた。
