
妖魔滅伝・団右衛門!
第1章 夜討ちの退魔師団右衛門
「つまり……私を狙う鬼とは、それだけ巧妙に姿を隠せる力を持つと」
「察しが良くて助かる。最強のオレ様にかかれば、いくら強い鬼でも倒してみせるがな。しかし……誰かを庇いながら戦う余裕はない。というより、守る戦は苦手なんだ」
「守る戦は苦手、か。まだ会って間もないが、分かる気がする。確かにお前はそういう人間ではなさそうだ」
「だから大人しく引っ込んでもらった方がやりやすい。普通の戦だってそうだろう? 大将は、一番後ろだ」
「ならば仕方ない。鬼退治は、お前に任せよう」
駄々をこねず引き下がった嘉明に、団右衛門は安堵の溜め息を漏らす。武辺者とは引くのを嫌うもの。引き際も弁えている辺り、やはり彼が一介の士ではなく将なのだと思い知った。
「ちなみに、さっき夢見が悪いと言っていたが、どんな夢なんだ? その夢に、鬼の意図が漏れているかもしれない」
すると嘉明はかすかに眉をひそめ、目を逸らす。
「……淫夢だ。眠る度、何かに犯される夢を見る。我が主君秀吉様は衆道を嫌っていたし、私も色欲にはあまり興味がない。犯す夢ならまだしも、犯される夢は、正直堪える」
