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妖魔滅伝・団右衛門!

第3章 加藤と加藤と団右衛門

 
 嘉明に出会った時、感じた運命。自身の腕で抱いて、団右衛門は自分が嘉明に仕えるため生まれたのだと確信したのだ。だが、嘉明が団右衛門に執着を見せたのは、初めて抱いたその日のみ。仕えるどころか、まだ武士として雇われもしていない。運命の糸は、簡単に千切れる細いものだった。

 団右衛門は頭を掻きむしり、貧乏ゆすりを繰り返す。しかし抱いた不安は拭えず、時間は答えをくれる様子もなく静かに過ぎていくばかりだ。

「――らしくねぇ!!」

 団右衛門は迫る不安に追い立てられ、とうとう胸を爆発させてしまう。あれこれ悩むのは、団右衛門の性ではない。いっそ嘉明に直接気持ちをぶつけた方が早いと、団右衛門は部屋を飛び出した。







 嘉明と清正は、幼い頃から秀吉に仕え、秀吉の妻・ねねに育てられた同志でもある。武士として敵対心を抱く事はあるが、それよりも常に友情の方が勝っていた。原因不明の病に倒れたとの噂を聞いて駆けつけてくれた清正の心は、嘉明も純粋に染み入る。

「――やっぱり、城は石垣が大事だよな。いつか城を築く日が来れば、千年は領地を守れる城にしたい」
 

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