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妖魔滅伝・団右衛門!

第3章 加藤と加藤と団右衛門

 
 交わされる唾液と共に、喉の奥へ流れ込む丸薬。それを確認すると清正は唇を離し、嘉明を押さえながら呟いた。

「……長年友として付き合ってきたが、お前がそんな色っぽい顔をするなんて初めて知ったな」

「何を飲ませた。お前の目的は、一体」

「お願いだから、何も聞くな」

 だが清正は、嘉明の追及を許さなかった。文句を押し込めるように再び唇を重ねると、今度はただ本能だけを交わらせた。

 するとその内友の真意も分からないまま、嘉明に不自然な眠気が襲いかかる。おそらく、先程の丸薬は眠り薬だったのだろう。襲われて心は尖り体は高ぶっているのに、意識は遠く離れ徐々に白くなっていた。

(駄目だ……今寝たら、もう……)

 清正に翻弄され絡む舌も、段々と動きを失っていく。戸惑いと色に染まる嘉明はしばらくして眠気に負け、清正の腕の中で力を失った。

 清正は今度こそ身を離すと、深く寝息を立てる嘉明を見つめる。前々から綺麗な顔立ちはしていたが、今の嘉明は今までにない色気があった。

(危ない、思わず目的を忘れそうになった。しかしあの乱れよう……嘉明が一人で覚えたとは思えない。これも、鬼の影響か?)
 

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