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　清正の叫びは、怒りと共に涙が混じっている。それは嘉明を陥れようとする悪人の声ではなく、真実嘉明を心配する友人の声であった。

「お前がきちんと嘉明を守れる退魔師であれば、こんな馬鹿な真似を働く必要はなかったんだ!!」

「はあ？　守ってんだろ、守ってなかったら今頃あいつは鬼の奴隷になってたぞ」

「二度も精を奪われたくせに、守っているというのか」

「仕方ねぇだろ、依頼初日で事情もろくに聞いてねぇ内に襲われたんだぞ。オレは出来る限り最善の対処をした！」

　だが清正は、溜め息を漏らし団右衛門の言葉を一蹴する。

「二度も精を取られて、鬼はどうなった？　手に負えなくなる程の、明らかな力を手に入れた。その味を知った鬼は、死ぬまで嘉明に執着する。嘉明を手に入れる力を得ようと、関係のない第三者を殺す可能性も出てきた」

　それは、団右衛門も想像した事態である。退魔師が獲物を逃した時、誰しもが憂う問題であった。妖魔とは人と違い、いつなりふり構わず暴走するか分からない生き物なのだから。

「ならば、まず執着の元を絶つのが道理。嘉明を殺せば、鬼の望みは叶わない。これ以上力を増幅する意味もなくなる。お前も、思っただろう。嘉明を殺すべきだと」