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幻星記序章~白夜の時終わりぬ…だが黎明の時来ず

第2章 〈刀〉

エイナが、ミリリアを突き飛ばすように放すと、緑柱色の瞳をしたミリリアは、すかさず…エイナの後ろにまわった。血のように赤い瞳をしたエイナが、気を溜める。その横をリユーンが転がりながら抜けて行くと、座り込んだ。カーンが、ナイサの前に立つとオーラを上げた。
ナイサの技が、炸裂した。だが…間一髪ーカーンの障壁で阻まれ…左右に流れると、地面に大きな爪跡を残し…海へと消えた。
ハァー…ハァー…。荒い息をし、膝を立てるカーン。ヨロヨロと、立ち上がるとエイナ達の元へと向かう。
「そんな…馬鹿な…。」我を失うネイサ。
《リーン…。リーン…。》耳に心地よい音色が、響く。刀達が、一斉に姿を現すと、左右に分かれ、膝を立てた。傷心のナイサも加わる。全部で…九人いた。
「エイナ…。」身を震わし、エイナにしがみつくミリリア。その肩を抱くエイナ。
「来るのか…?」まだ…足元が、おぼつかないが、それでも…立ち上がるカーン。
「ほへぇ…。」一人…状況を全く、理解していないリューン。
程なくして現れた…青銀色の鎧を纏った〈六の剣〉…。現れるや否やー兜を放り投げ、カーンの元へと駆け込んでくる。淡い金茶の長い髪が揺れ、悪戯っ子のような深緑色の瞳が光る。背は…カーンより低い235地。

無造作に放り投げた兜は、美しい放物線を描き一方前に足を出したナイサの腕の中にすっぱり収まった。
「カーンー!!。久しぶりだな…。」頭を小突き回す。
「やめろって!!〈深緑の剣〉様…。」
「〈六の剣〉だ…。〈六〉でもいいぞ…。」
「相変わらずだな…。〈六の剣〉様は…。」
「様は…いらないぞ。」
「はぁー」エイナとミリリアは、どちらともしれずへたり込んでしまった。
「ほへぇ…。〈六の剣〉とカーンって知り合いなんだ…。」両足を引っ付けた…だらしのない姿で言うリューン。
「おぉ…少年…。そうだぞ!。俺とカーンは、知己なんだ。」
「少年じゃない!!。俺は、十八だ!!。」
「へぇ…?!」頷くカーン。
「それは悪かった…。えーと…」
「リューン!!こっちがエイナで…こっちがミラ…ミリリアだ。」
「エイナに…ミラちゃんか…。よろしく…。」
「よろしくです。…。」エイナが緊張した面持ちで答える。
「よろしくー!」元気いっぱいのミリリア。
「カーン…。」崖の方を視線を差す。
「あぁ…。」二人は、どちらともなく…離れて行った。

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