
タバコとシャボン玉
第3章 偶然
──休み時間になり、私は斜め前の幹子の席へ向かった。
幹子は、達也との話が終わってから、授業中も、今現在もずっと、自分の髪をいじっていた。
幹子の頭をなでながら、
美咲「そんなに気になるの?髪の毛」
幹子「うーん、今日髪切ってくる。ちょっと短くする」
幹子はそういうと、手鏡を出して前髪をいじり始めた。
今朝の達也との会話が原因かと尋ねたが、どもりながら全力で否定していた。
───放課後。
珍しく幹子から誘われず、今日も一人で帰ることになった。
空はまだ曇っているが、傘が必要なわけではなかった。昨日とは違い、サワサワと風の音もせず、妙に静かな帰り道だった。
正門を出て角を曲がると、さらに音は静かになり、少しだけ不安になった。
