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タバコとシャボン玉

第3章 偶然

──あの、橋に差し掛かった。

やはりここは落ち着く。


昨日からの雨で、橋の下は少し川のようになっていた。


ここにきてやっと、私は昨日の出来事を思い出していた。あの剛とかいう男の事を。


見た目は活発そうなツンツン髪、水色のTシャツに、短パン。まるで、少年のようだったが、背丈は私と同じくらいだった。


剛「あの、もしかして昨日・・・」



考え事をしていたせいか、反応が遅れた。


後ろを振り返ると、昨日とは少し違う雰囲気の彼が、傘を杖のようにして立っていた。



いつもの、橋を渡る時のギシッという音はまだ聞いていない。でも、何故か私の胸は鳴っているのが聞こえてきた。


今まさに彼のことを考えていた。


とても偶然だと感じた。

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