
タバコとシャボン玉
第3章 偶然
美咲「昨日は、どうもすみませんでした」
私は、しっかりと彼に身体を向け、すぐに昨日の失態を謝った。
彼は何のことだがわからないと言うように、私の横を通り過ぎた。
剛「ついてきなよ。いいもん見せてやるから」
昨日とは、本当に違う人に見えるくらい、今日の彼は穏やかだった。別人のような彼の後ろ姿は、とても頼り甲斐のある、勇ましい姿に見えた。
そういえば昨日も、釣りの途中で話しかけた時、同じ事を言っていたと、思い出した。
彼は、私の好きな橋をすっと渡り、どんどん前に歩いて行った。
美咲「ま、待って下さい!」
少し距離があいてから、ようやく我に返った私は、すぐに彼を追いかけた。
そらは、雲が少なくなり、夕日で紅く染まっていた。
