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タバコとシャボン玉

第3章 偶然

───しばらく歩くと、公園にたどり着いた。

少し高台にあるからか、入り口から正面を見ると、向こう側に小さな街があり、その先には海が見えた。


特にこれといった特徴もない、変哲もない、普通の公園。ただ、正面から見える景色だけは本当に綺麗だった。


初めて見た景色だった・・・。



剛「よかった。この景色見て何とも思わないかと思った」



彼は、私の右側に立ち、腰に手を当ててそういった。


その横顔は、昨日の彼と同じで、満面の笑みだった。



剛「君、名前は?」


彼にそう聞かれてもまだ、私はその意味がわからないほど、彼の横顔を見ていた。いや、見とれていた。


彼が私の両肩を持って揺らしてはじめて、我に返った私は、恥ずかしくて下を向いてしまった。


剛「こっちに来なよ。いいものみせてやるから」



そう言うと彼はまた、私の前をズンズン歩いた。


夕焼けのせいで彼が真っ黒だった。


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