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タバコとシャボン玉

第4章 心

美咲「ごめん、私ったら・・・」


急に我に返った私は、恥ずかしくて下を向き、涙を拭った。


達也と剛は違う人。二人を重ねるのは、ちょっと違う気がしたので、もう考えないことにした。


達也「どうしたんだよ、お前もチームの誰かに何か持ってきたんじゃねえのかよ」


美咲「まさか。別にバスケなんて全く興味ないし。幹子に誘われただけよ」


達也「またまたー。渡そうとしたやつにふられてないてたんじゃねーの?」


豪快に笑う達也、少しムッとする私。


そんなことは無いと冷静に否定しながら、私はまた体育館の中へ入った。そして、案の定しょぼくれている幹子の元へ向かった。



幹子はどうやら、お目当ての人に会えなかったらしく、手には、早起きして作ったという、弁当箱を持っていた。


私は、今度は幹子の手をグッと引っ張り、体育館の入り口へと走った。幹子の心が手に取るようにわかる気がしたから。


体育館の外には、達也がポツンと立っていた。先程の会話から、全く時間が進んでいないように感じた。


幹子「た、達也君!来てたの!?」



どうやら、私の感は当たったようで、ほんの数秒前の顔は何処かに消え、心の底から笑顔になった幹子は、達也に弁当を渡した。


少し、心が穏やかになった。

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