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タバコとシャボン玉

第2章 出会い

キーンコーンカーンコーン

先生「では今日はここまで。今日言ったことは必ずテストに出すから、くれぐれも遊びすぎないように」


そういうと、先生は幹子を見つめる。
しかし、すでに夢の世界にいる彼女に、その目線は届いていなかった───



──放課後、私は幹子の誘いを断り、教室を出た。


後ろから、幹子の叫び声が聞こえたが、まあ大丈夫だろう。


廊下を歩きながら外を見ると、先程よりは少し弱くなった雨が、運動場に水たまりを作っていた。そして、それをよけながら、帰宅している生徒たちの姿があった。


階段を降りると、部活動の準備をしている同級生の姿があった。


スポーツは苦手だけど、ああやって皆で青春しているのは、見ていてとても元気付けられる。
玄関口では、数人の男子が肩を組みながら笑っていたり、既に正門に向かって歩いている人もいたり。


いつもの、ザワザワした風景だ。



私は、正門から出て、傘をさしながらゆっくりと歩いた。



──この街に住んで、もう三ヶ月になるが、やはりまだ土地感が掴めていなかった。また、いつも幹子と帰っていたから、一人で辺りを見渡しながら帰るのは久しぶりだった。


学校から少し離れると、まだ雨が降っているのに、辺りはやけに静かで。


でも、決して嫌な静けさではなかった。



雨粒が乗った木々がサワサワと揺れ、少し、地面の匂いがした。

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