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僕と娘の話

第13章 本当のこと

タン、タン、タン、タン、

階段を登る音が聞こえ
俺の部屋の前で足音は止まる

「…あの…お兄さん…夕ご飯は何にしましょうか?」

里生ちゃんは部屋の外から俺に声をかけた

本棚の前で立ち尽くしていた俺は
ドアを開けた

目の前の可愛らしい女の子は
少し悲しい表情をしていた
俺が機嫌を悪くしたと思っているのだろう

「…俺は夕飯は良いよ。一人で好きなものを食べて」

悲しい表情を見ているのは辛くて
ドアを閉めようとする


「順くんが…何か言ったんですか?」


沈黙が流れ、俺は返事に困る

「いや…何も」

俺はドアノブから手を離し
部屋の中にはいると自分のベッドに座った


「ごめん…疲れてるんだ…ちょっと眠りたい気分で…」
そう言うと里生ちゃんの顔はますます
悲しそうな、泣きそうな顔になる

手を差し伸べることなど俺には出来ない

してはいけない

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