僕と娘の話
第13章 本当のこと
里生ちゃんはドアノブを握ったまま
ドアを閉める気配はない
ただ泣きそうな顔で
どうすれば良いのか困っているように見えた
ギュッと目を瞑ると
里生ちゃんは俺の部屋の中に一歩足を踏み入れた
ガチャン…
そしてドアを閉める
俺は前に忠告した
男の部屋には入ってはいけないと…
「お兄さん…何か順くんから言われたんですよね…」
里生ちゃんは俺に少しづつ近づく
ベッドに座っている俺の目の前に立つ
「…言われたのは、言われたよ…
話をしたいならリビングに行こう」
俺は里生ちゃんから距離を取ろうとするが
里生ちゃんは俺の目をじっと見つめて離れない
「里生ちゃん…リビングに行こう。ここで話すのはやめよう」
「…どうしてですか?」
「ここは俺の部屋だからね」
「お兄さんの部屋だとなんでダメなんですか?」
俺が腰掛けているのはベッド
目の前には好きな人
2人きりの密室
俺がベッドに腰掛けると、立っている里生ちゃんの胸辺りに俺の目線が行く
この状況でまともに話は出来ない