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王子様のプロポーズ〜クロード編〜

第3章 フィリップ城へようこそ

クロード:「ウィル様、後は私が説明致しますのでお仕事にお戻り下さい。」


ウィル:「ああ、分かった。じゃあ、頑張ってね」


ユリ:「はい、頑張ります」


ウィル王子が出て行くとクロードと2人きりになりピリッとした空気になる。


この一瞬の空気の変わりでユリはクロードには歓迎されて居ない事を悟る。そして元々男が苦手なユリはクロードとの距離を取りながら向かい合う。


クロード:「失礼ですが・・貴方はノーブル様とどの様なご関係でいらっしゃいますか?」


ユリ:「古い友人です。」


クロード:「古い・・?」


ユリ:「はい。まだ私が幼い時から日本で可愛がってもらいました。」


クロード:「ほお、すると貴方は何処かのご令嬢ですか?」


ユリ:「ご令嬢って私が何処かの貴族の娘かって事ですか?」


クロード:「ええ」


ユリ:「そんな訳ないじゃないですか。そもそも日本に貴族は存在しないですよ。」


するとクロードはユリを一瞬冷やかな目で見た。


クロード:「そうですか。しかし、プロのデザイナーでもない貴方がどうしてこの仕事を・・?」


ユリ:「それに関しては何も言えません。ですが引き受けた以上は必ず納得して貰う物を作るつもりです。もし駄目ならクビにしてくれて構いません。」


クロード:「分かりました。貴方がそうおっしゃるのであれば一週間の間にウィル様がお召しになる衣裳を最低7着作って下さい。」


ユリ:「7着ですか。分かりました。ならば用途だけでも教えて貰えませんか?」


クロード:「ええ、直ぐに紙に書いてお渡ししましょう。先に貴方のお部屋にご案内します」



クロードはユリを使用人の中でも1番質素な部屋に案内したがユリは特に気にとめる事は無かった。


しかし後にウィル王子に注意されユリの部屋がグレードアップするのは一週間後の事。



ユリはクロードからメモを貰い一度町に出て生地屋に向かった。


ピエールにも連絡を取り生地を分けて貰う事になった。


生地とボタンと糸を買い付けタクシーに乗せ城に戻る。台車を借りアトリエに運んでいると他の執事やメイドも運ぶのを手伝ってくれた。


そして1人アトリエに籠もり服を作り始めた。

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