王子様のプロポーズ〜クロード編〜
第3章 フィリップ城へようこそ
ユリは一週間アトリエで缶詰状態で作業に没頭した。
食事もほとんど忘れ寝る時間を割いて作業した。
夜中、公務が終わったウィル王子を乗せたリムジンが停まる。
ウィル:「ん?」
クロード:「どうかしましたか?」
ウィル:「いや、何でもない」
クロード:「・・・・」
クロードはウィル王子が見た先を見てみると既に暗くなっている時間帯にも関わらず一箇所だけ部屋の灯りが点いていた。
アトリエでスタンドライトの灯りだけでミシンを縫っている。
作業開始から3日目でユリは既に6着目を完成させようとしていたがユリはさらに服を縫って行く。
ユリ:「・・・・・」
コンコンっとノック音が鳴るがユリは集中していて耳に入って居ない。
暫くしてドアが開くとウィル王子が部屋の中に入って来たがユリは全く気付いて居ない。
カタカタカタッ・・
ウィル:「・・・・」
ユリ:「・・・・」
ウィル:「ユリ」
ユリ:「!」
ビクっと肩が跳ねるもの手元は絶対にブレない。
ミシンを止め振り返るとウィル王子と目が合う。
ユリ:「ウィル王子?」
ウィル:「こんな時間まで作業?」
ユリ:「はい。ウィル王子こそこんな時間まで仕事だったんですか?」
ウィル:「まあね。さっき公務先から帰って来たばかりだよ。これ出来たやつ?」
ユリ:「あ、はい。今5着出来上がったんですけど・・あの・・」
不安そうにウィルを見るとウィルは優しい笑みでユリを見返す。
ウィル:「何?」
ユリ:「一週間分の公務で着る衣裳の内容がまだ良く理解出来なくて・・クロードさんからは軽く用途だけ聞いたんですけど・・。木曜日に行われるこの公務ってどういうものなんですか?」
ユリはクロードに貰ったメモをウィル王子に見せながら聞く。
ウィル:「ああ、これはね・・」
ウィルはメモを見ながら優しくユリに説明する。
そして
ウィル:「あんまり頑張りすぎないでね?」
ユリ:「はい。これ仕上げたら休みます。」
ウィル:「ん、じゃあお休み」
ユリ:「お休みなさい」