王子様のプロポーズ〜クロード編〜
第3章 フィリップ城へようこそ
ウィル:「直ぐに部屋を変更しろ!」
クロード:「しかし専属デザイナーといえどあの部屋を与えるのは少々行き過ぎでは?」
ウィル:「俺が良いと言っているんだから構わん」
そんなやり取りをしている事も知らずユリは安眠剤でスヤスヤと深い眠りに付いていた。
ウィル王子とクロードは静かにユリの部屋の中に入った。
そこはあまり生活感を感じさせないただシャワーと寝るだけの為に使われている。
しかしベッドで深い眠りにつくユリの枕元には可愛らしいぬいぐるみがユリを囲う様に置かれている。
その姿がとても可愛らしいとウィル王子は思い笑みを浮かべる一方クロードも満更でもない様子だった。
ところがクロードはある一点に目が止まる。
それは先ほどユリが薬を飲んだ時に使ったコップと薬の残骸のフィルムだった。
何の薬か気になったクロードはそのフィルムを手にする。
クロード:「(睡眠薬?)」
クロードは過去に自分も似たようなものを飲んだ事があった為にユリの飲んだ薬が何なのか分かった。
ウィル:「どうした?」
クロード:「いえ、何でもありません」
そのフィルムをポケットに忍ばせた。
ウィル王子が自室に戻ったのを見届けクロードは再びユリの部屋に向かった。
クロード:「(あの睡眠薬なら当分起きないだろう・・)」
そう思いメイドを数人連れてユリの荷物を全て新しい部屋に運ばせた。
後はユリを新しい部屋のベッドに寝かせるだけとなるとクロードはユリを横抱きに抱え部屋まで運んで行った。
翌日の早朝
ユリは目が覚めると見慣れない天井が映った。
ユリ:「・・・・?」
クロード:「お目覚めですか?」
ユリ:「!」
ベッドの横でクロードが笑みを浮かべながらユリを見下ろしていた。
ユリは慌てて起き上がる。
ユリ:「すみません!もしかして私寝坊・・・ここ何処ですか?」
クロード:「貴方に使って頂く新しい部屋です。」
ユリは部屋の周囲を見渡すと今までの質素な部屋とは比べ物にならないぐらい広く立派な部屋だった。
ベッドも狭いシングルベッドではなくキングサイズの大きく広いベッドに変わっていた。