王子様のプロポーズ〜クロード編〜
第1章 プロローグ
パーティーが終わった翌日からデザイナーの仕事は強制されなかった。
ファッションショーがまじかに迫り人手不足だった為にユリは強制的に手伝わされただけだった。
それも日本人は器用というちょっと片寄った解釈とピエールとノーブル様が顔見知りだったらしく、ノーブル様がピエールにユリは裁縫も縫い物、料理と何でもこなす事を話したらしい。
ようやく慌ただしさが無く落ち着くかと思っていたがジョン・ピエールの事務所はある問題が起きていた。
ファッションショー当日前にデザイナースタッフの女性が突然失踪してしまったのだ。
そしてファッションショーが終わった直後に雑誌にジョン・ピエールのデザインがあるブランドの盗作の疑いと書かれ問題になった。
失踪した女性が関わっている事は間違いなく事務所はこのまま経営していくのは難しいと考え休業となった。
ユリは再びオリエンスのホテルのバーに向かった。
佐助:「間違いないよ。あの女元々この会社の工作員だよ。」
ユリ:「居場所は?」
佐助:「勿論突き止めたよ」
ユリ:「流石!仕事が早いね」
佐助:「紫煙から聞いてね。一応色々調べておいた」
ユリは紫煙を見ると紫煙がニコッと微笑む。
佐助:「で、どうする?」
ユリ:「今のところピエールさんは裁判を起こすつもりはないらしい。なんか考えてるみたい」
佐助:「ちぇっつまんないの〜・・つーかそんな奴初めてじゃん?」
ユリ:「そうだね。今まで裁判はやらない人でも示談はするのに」
そして翌日ユリはオリエンスから再びシャルルに戻りピエールの様子を見る為事務所に向かった。
店内は沢山の洋服が山の様にありその山がモゾモゾと動きピエールの頭がニョキッと現れた。
ユリ:「ピエールさん何してるんですか?」
ピエール:「あらベイビーちゃんちょうど良いとこに来たわ」
ユリ:「?」
ピエールは山になった洋服の中から抜け出すと事務机の引き出しから封筒を出しユリに渡した。
ユリ:「何ですか?」
ピエール:「まあ、開けてみなさい」
ユリは封筒を開き中身を確認すると目を見開いた。
その手紙の内容はフィリップ王国のウィル王子からユリを専属デザイナーとして採用したいという内容だった。