
ベース
第1章 窓の向こう
「今度中島君にも教えてあげるわよ」
「やったー!
絆創膏ありがと翔子ちゃん」
「はいはい 翔子ちゃんじゃなくて先生でしょ?
部活頑張ってきなさい」
元気に笑って走って行く中島君
「先生仲良いねあの人と」
「よく来るのよ
平日の部活で来たのは初めてかしら」
どうりで見ないはず
中島君のあの球をとったって人
どんな人なんだろう
ちゃんと見とけば良かったな
〜 ♪
携帯の着信音が鳴った
お母さんか …
「もしもしお母さん?」
『有結?今日早く仕事終わったから、今から迎えに行くわね
まだ学校でしょ?』
「はーいありがとう」
今日はもう少しグラウンドを眺めていたい気分
沈みかける夕日が白いユニフォームを赤く染める
「有結ちゃん絵になりますね」
私の溜息に気がついたのか
カメラのポーズをとった天野先生
「先生に言われたくないなぁ」
ふざけて笑って見せる私
スクバを持って保健室を後にした
