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第1章 窓の向こう




絶対私には似合わないような
黒いピカピカした車の助手席に乗った



「有結、最近学校どう?」




一番聞かれたく無い質問に一瞬間が出来た



「楽しいよ」


咄嗟に嘘を吐いた


運動も出来ない 人前で大笑いするのも怖い
いつ発作が起きるか分からないから


誰かと一緒にいたくない


唯一心が許せるのは天野先生だけ

私が苦しくなっても大丈夫大丈夫って
隣で優しく背中を撫でてくれる





だけど



「そう 良かった」



って笑うお母さんの表情を
壊したくなくて



保健室登校ってのは知ってるけど
友達は人並みにいると思ってる



でもいつかはばれるだろうから


いつかはこんな人生に飽きてしまうから

まぁもう飽きてるけど



何に怯えてるんだろう


情けない 気持ち悪い




あぁ


つまんない




早く歳取らないかな



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