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ネイキッドな君

第1章 俺は君を見つけ、

「渡辺先輩まで!
もっといい方法があるでしょう?」


「じゃあ、君の言ういい方法ってのはなんだ?言ってごらんよ」


「それは……」


俺が笑顔を崩さずに問いかけると、美咲は口の中でごにょごにょと何か話した。


「ん?何かな?もう少し大きな声で話してくれると助かるよ」


夏樹のとどめに美咲はがくりと肩を落とした。


長い間一緒にいると、それが彼女の諦めの合図なのだとわかる。


「じゃあ、僕の作戦で決定だね」


「ああ、やってみるとしよう」


笑顔で答えると、和真は満足そうに頷いた。




「よし。そろそろ戻ろう。時間がない」


そう言って駆け出した夏樹の後ろで美咲と和真がいう。


「渡辺先輩、こういうときだけ私に強く出ますよね。いつもは私に逆らわないのに」


「そういう美咲ちゃんも、夏樹くんの笑顔とか押しに弱いでしょ」


後ろでまた言い争いが始まりそうだったので「黙って走れ」と声をかけると美咲に頭を叩かれたのは余談だ。

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