
ネイキッドな君
第1章 俺は君を見つけ、
夏樹は女の子の前に立つが彼女はこちらに気が付かない。
夏樹は彼女の名札を覗きこむ。
『吉川 亮』
よしかわ……りょう?
男?いや、スカート履いてるし。
取り合えず声掛けるか。
「吉川さん」
夏樹は声を掛けたが彼女はこちらを向かない。
その代わり夏樹の存在に気付かず教室で騒いでいた1年の女子が「はい」と返事をした。
「あ、いや、君じゃない吉川さんを呼んだんだ。ごめんね、吉川さん」
夏樹が笑顔で吉川さんに言うと恥ずかしそうに「す、すみません」と謝り友達とそそくさと教室を出ていった。
そっか、このクラスには吉川さんが2人いるんだ。
で、この子は自分の存在がクラスで浮いていて声を掛けられることがないから、「吉川さん」と呼ばれても自分じゃないと思っちゃうんだ。
そうしないと自分のことじゃない「吉川さん」に反応しているのが惨めだから、情けないから。
夏樹は諦めて彼女を名前で呼んだ。
「りょ、亮さん?」
その瞬間、一瞬だけ…ほんの一瞬だけ教室の空気が止まった気がした。
その後、彼女はゆっくりと顔を上げた。
夏樹は思わず息を飲む。
夏樹は彼女の名札を覗きこむ。
『吉川 亮』
よしかわ……りょう?
男?いや、スカート履いてるし。
取り合えず声掛けるか。
「吉川さん」
夏樹は声を掛けたが彼女はこちらを向かない。
その代わり夏樹の存在に気付かず教室で騒いでいた1年の女子が「はい」と返事をした。
「あ、いや、君じゃない吉川さんを呼んだんだ。ごめんね、吉川さん」
夏樹が笑顔で吉川さんに言うと恥ずかしそうに「す、すみません」と謝り友達とそそくさと教室を出ていった。
そっか、このクラスには吉川さんが2人いるんだ。
で、この子は自分の存在がクラスで浮いていて声を掛けられることがないから、「吉川さん」と呼ばれても自分じゃないと思っちゃうんだ。
そうしないと自分のことじゃない「吉川さん」に反応しているのが惨めだから、情けないから。
夏樹は諦めて彼女を名前で呼んだ。
「りょ、亮さん?」
その瞬間、一瞬だけ…ほんの一瞬だけ教室の空気が止まった気がした。
その後、彼女はゆっくりと顔を上げた。
夏樹は思わず息を飲む。
