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幕末乱舞

第2章 出逢い

 足が土を踏む感覚がした。
 どうやら着地は成功したらしい。
 痛みも何もなく立っている。
 賭けは失敗。
 だけどひとつだけおかしなことがある。
 せとがいたのは真昼の公園。
 太陽が明るく世界を照らしていた。
 だけど今は違う。
 辺りは暗く、足元もろくに見えない。
 いつの間に夜に?
 公園の電灯切れたのかな。
 それにしても暗すぎる・・・・
 ふわっと生温かい風が吹いたような気がした。
 同時に叩きつけるような雨がせとに降り注ぐ。
 雨?
 いつの間に。
 戸惑うせとの耳に、微かにドタバタと駆ける足音が聞える。
 やがて叫び声とともにせとの上に何かが降ってきた。
「!!」
 あまりのことに声が出ない。
 せとは地面に倒れ込み、それはせとの上に覆い被さる。
 びしょ濡れの雨の中に、感じる温かな人肌の感覚がした。
 が、その人物はぐったりとせとの上に覆い被さったまま、ぴくりとも動かない。
 せとは必死でそれを押し退けた。
 ごろんと地面に転がる人らしきモノ。
 せとの手にはぬるりとした嫌な感触。
 雨ではない。
 鼻孔を突く強烈な匂い。
 これは―――――――

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