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同窓生

第19章 敦と美桜の続き

修学旅行はとても楽しい旅行となった。

クラスで二組もセックスしているなんて、先生も他の誰も予想すらしていなかった。

ただ、美桜と敦が付き合っているということは、何となく誰でも気がついた。

敦の美桜に対する優しさは、他の女子に対する優しさとは違っていた。

明らかに彼女扱いだった。

その現実が浮き彫りになっても、敦のこと、美桜のことを思う男女はいた。

修学旅行最終日。

敦は、佐々本ありみに呼び出された。

美桜に現実を伝えるが、美桜に不安はなかった。

敦に愛されているという自信があった。

集合時間15分前、ありみが敦に、

「敦くん!美桜ちゃんのこと好きなの分かってるけど、私も敦くんのことが好き。」

緊張しながら伝えた。

「ありがとう。オレは美桜に夢中だから、佐々本の気持ちには答えられないよ。ゴメンな。」

そう、はっきり伝えた。

「そっか。うん。いいの。分かってたことだから。ただ、伝えたかったの。聞いてくれて、ありがとう。」

失恋はツラい。

ありみは涙を堪えながら、笑顔で言った。

一方、美桜を想ってる男子もいた。

柿本望夢(かきもとのぞむ)だ。

望夢が美桜の落としたハンカチを拾った。

「あ。望夢くん、ありがとう。」

美桜は笑顔で言った。

その笑顔に心を撃たれた望夢は、
呼び出したりせず、望夢は何人か同じクラスの子がいるにも関わらずその場で、
ハンカチを手渡しながら、その手を握って、

「石田。オレ、石田のこと、好きだ。」

顔を真っ赤に染めて、その純情な気持ちを伝えた。

周りがざわつく。

「石田は、敦のことが好きなのは分かってる!だけど!オレだって石田のことが好きだ。幸せにできる!オレと付き合ってほしい!」

大きな声で言ったもんだから、離れていた敦の耳にも届いた。

こんな大勢いたら、フルなんて可哀想で、美桜はなんて断ったら良いのか困り果てていた。

駆け寄ってきた敦。

困ってる美桜を見て、助けたかったが、断るのを待つことにした。

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