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同窓生

第1章 初恋

『帰る!あ!でも!みんなに見られちゃうよ?』

こんなに長く一対一で話すの……
目が合う時間が長いの……
自分の意見言うの……

初めて。

誰もいなくなった教室に私と敦くんの声が響く。

ドキドキドキ……

「オレは見られても気にしないけど。」

敦くんはさらりと大人びたことを言ってくれる。

それもまた似合うからカッコいい!

「石田は気にする?」

そして気を遣ってくれる。

それは私だけの特別なのかな?

『気にしないようにがんばる!』

ニコッと自然と笑顔になった。

「石田……」

『ん?』

「ヤバい……計画が……潰れる。」

『ん?計画?』

「ま、いっか。」
自問自答する不思議な敦くん。

「悪い。もう!我慢できないんだ!オレさ!……オレッ!!!」

ガシッ!!!

敦くんの手が両方の肩をつかむ。

えっ?これって……もしかして?!

すごい期待しちゃう。

ドキドキ
ドキドキ……

鳴り止まない鼓動。
速さが増す、鼓動。

「石田のこと、好き。」

敦くんに見つめられて金縛り……。

『…ッ…』
嬉しすぎて涙が出そう。

『私も!敦くんのこと、大好きだよ!』

精一杯、自分の気持ちを伝えた。

ギュゥッ……

「石……美桜……。」
初めて名前で呼ばれた!

『敦くん……ありがとうッ!』
ニコッとまた笑顔になった。

「その笑顔が本当に大好きなんだ。」
敦くんが照れたように言う。

『ありがとう!』
恥ずかしくて上目遣いになって、お礼を言った。

「じゃ!帰ろっか!」
『うん。』

敦くんの家と私の家は本当に近い。
学校を中心に考えると、敦くんの家の方が学校に近い。
敦くんの家から7分歩いた所に私の家がある。

一緒に帰ってる今、同じ小学校の子にマジマジと見られたり、冷やかされたり……

そんな想像をしていたが、特に何もない。

終業式だったから方面での集団下校みたいになってて、誰が一緒に帰ってるとか、あってないようなものだった。

でも、できるだけ二人の会話をした。

「夏休み、何か予定ある?」

『お盆におばあちゃん家行くくらいだよ。今年は、そこでまとめて休みとるから、他にはないってお父さんとお母さんが言ってた。』

「そっか。うちも同じー。まぁ、あとは部活だな。」

『だね!朝練やだな。』

「起きられる?」

『多分ね。』


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