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同窓生

第2章 経験

「美桜…こっち向いて?」

しばらく抱き締めてた敦くんがそう言った。

『……恥ずかしいよ』

素直にそう答えた。

「俺だって恥ずかしいよ。でも、美桜のこと正面から抱き締めたい!」

ドキン!

胸の鼓動がさらに高鳴った。

コクン

私は一つ、頷いてから、敦くんの方に体を向けた。

そして

敦くんの瞳の中に私が映った。

きっと顔、赤いんだろうな。

終業式だからって、今朝、早起きして、髪、巻いてちょっとだけ可愛くして良かった!

なんて変なことを考えた。

敦くんに可愛いって言われたいんだもん。

でもずっと見つめ合うのは恥ずかしくて、すぐに目をそらしてしまった。

そしたら敦くんが

「美桜はすぐ目、そらすよなー。」

そう言った。

『えっ?そんなことないよ。』

本当にそんなつもりはなかったのだけど、

「わりとズキッとくるんだよ?目、そらされると。本当は嫌われてるかな?とか、考えたこともあったし。」

『うそ?』

敦くんを見る。

また、目が合う。

でも、今度はそらさないで話を聞いた。

「そーだよ。でも、もし嫌われてても俺が美桜のこと好きなんだから仕方ないって思ってさ。告白してダメだったらもう目、合わせないようにしようって決めてたんだ。」

『そうだったんだ。……敦くんと目合うの恥ずかしいんだもん。だからそらしちゃって……。傷つけてたなんて……ごめんなさい。』

シュンとして伝えた。

「いいよ。想いが通じたことだし。」

そう言って、敦くんが私の髪を触った。

そして抱きしめた。

すごく近い距離で敦くんの吐息を感じた。

「可愛い。美桜。本当に両想いになれたなんて信じられないよ。」

耳元で呟く。吐息がかかる。

ゾクッとした!

『わ、わたしも!』

どもりながら、変な声が出ないようにごまかした。

「美桜……やわらかい……」

そう言われて、ドキドキがさらに高まって、敦くんが、

「キス、しても良い?」

そう聞いてきた。

コクン!

小さく頷くと、

敦くんが私の肩に手を置いて少し離れた。

敦くんの瞳の中に私がいる。

ギューッと目をつむる。

敦くんの手が頭を撫でた。

ビクッとしたけど、少し落ち着いた。

そして、

チュッ

優しいキスが舞い降りた。

敦くんの熱が伝わる。

きっと私の熱も感じてるはず。


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