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同窓生

第13章 新学期

敦は

「佐伯。ありがとう。でも、大丈夫だよ!自分で使いなよ。」

笑顔で返し、夏海の前から走り去る。

美桜の横を通りすぎる時、

「来て?」

そう伝えた。

美桜は、死角になっている水道の所までついていき、敦にタオルを手渡した。

『お疲れ様!』

「美桜のが良いなー。」

なんて言って美桜のタオルを使った。

どのタオルが誰のかなんて誰も気がつかない。ましてや、敦のも美桜のもスポーティーなタオルだったからなおさらだ。

敦はそう思っていた。

『敦くん、かっこよかったよ!やっぱり一番だったね!』

「ありがと。次は美桜の番!頑張れよ。一緒にまた、リレー、出ようよ。」

『うん!頑張るよ!ありがとう!』

満面の笑みを見せた美桜。

その笑顔にクラッときた敦は、タオルで顔を覆い、美桜に近づいて、

チュッ!

一つ、キスをした。

『あつしくん!ここ、学校……』

「ごめん。つい。」

そう言って敦が笑顔になった。

『もぉ。』

ドキドキが止まらない。

物陰に誰かいるなんて夢にも思わず、二人は二回、軽くキスをした。

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