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俺が教えてやるよ。

第1章 可愛いね、お姉さん

『…ただいま』

一日を過ごして、クタクタのあたし。
靴を脱ぐと、玄関には見慣れた革靴。
あれ、もしかして。

『お兄ちゃん?』

「おーおかえりー」

案の定、扉を開けると、キッチンにはお兄ちゃんの姿があった。

『今日どうしたの?』

「えー?ご飯作りにきたんだよ」

サラッとお兄ちゃんは言う。
ご飯って……。

『あれ、奥さんは?』

「今日は仕事。もうすぐ帰ってくるかな」

『…そうなんだ』

「何、寂しいか?」

『…っべ、別に!』

「素直じゃねぇヤツ」

別に、素直じゃないわけじゃないから!

彼は、あたしのお兄ちゃん。
美山梨久、24歳。

去年結婚して、この家から奥さんと暮らすための新居に引っ越した。

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