Voice
第3章 想い
「翔ちゃん…俺、この後予定あるから…」
「あ、うん…」
「じゃあね、翔ちゃん」
雅紀は自ら背を向けた。
「あ!まって雅紀!」
俺は雅紀を呼び止めた。
なんだか…嫌な予感みたいなのが頭をよぎった気がした
もう…雅紀に会えないのかもって…
「…何?」
雅紀は表情のない顔で振り向いた。
「メアドと…携帯番号…!俺、こっち戻る前メールしたら…このメールアドレスは使われていませんって…」
「…あぁ、切られたんだ。」
「え…?」
「お金持ちの翔ちゃんには…縁のない話だよ」
雅紀は嫌味のように言ったが
俺は何かあったんだと思った。
「どうした…?」
「…俺の実家の前通ったらわかるよ」
「え…?」
「まあ…そんなわけだから。また今度ね。俺…急いでるから」
「うん…わかった。」
俺達はこんなにも簡単に崩れてしまうものだったのか。
どこかへ向かう雅紀の背中を見つめていた。