Voice
第3章 想い
そして夜が明けた。
一晩中考えた結果、何が正解なのか分からなかった。
けど、このままにしたくないという俺自身の気持ちがはっきりした。
ここ数年、雅紀の事が頭から離れたことなんてなかったのは事実。
けど、連絡もしてなかった…いや、できなかったのも事実だ。
それが"男の友情"で、俺は親友のことを思って、大変だろうから連絡はしないでおこう。なんてなるのは少し考えられなかった。
高校時代、俺の合格発表の時
雅紀は俺に…何か言おうとした。
結局何もわからないまま違う道を歩いたわけだが、
抱きつかれたときは不覚にも胸の鼓動が早まったのを覚えている。
一緒にいれば楽しくて、アイツの笑顔さえ隣で見ていられたらそれでいいと思っていた。
"翔ちゃん"
雅紀が俺の名を呼ぶ声を何度も頭の中で繰り返した。
その度に体温が上昇した気がした。