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第1章 1.別れ
俺は高校生活を雅紀と過ごしていた。
ただひたすら楽しかった。
だからいつまでも隣でアイツの笑顔を見ていたかった。
けど、俺は親父の会社の後継者にならないといけなかった。
大学には行くつもりだったがそれ以上のことは考えてもなかった。
ある日こんな言葉を目にした。
"櫻井財閥の御曹司は甘やかされている"
"どうせ、学歴関係なしであと継げるんでしょ"
「ッ…」
悔しくて悔しくて仕方なかった。
けど、間違えではない。
俺は好きなことなんでもできたし
仕事は決まっていたようなもの。
楽な道は既に切り開かれていたんだ。
"なんの苦労もしてきていない"
確かにそうだ。
もがき苦しむことなんてなかった。