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第1章 1.別れ
だから俺はあえて苦しむ道を選んだ。
進路最終決定の時に大学の志望校を変えた。
はるかにレベルを上げた。
「櫻井…本気なのか?あと3ヶ月もないぞ?」
「ええ、わかっています。」
「受からなかったら?」
「その時はその時です。絶対受かってみせます。」
その日から3ヶ月、俺は狂ったように勉強した。
「翔ちゃん頑張るねぇ」
雅紀は隣で笑っていた。
「俺、楽ばっかりしちゃダメだって思ったんだ。」
「あははっ翔ちゃんらしいね?こんなギリギリで変更するなんて」
「雅紀は?どうするの?そういや知らなかった」
「ああ、俺は親父の店継ぐよ~。」
「そうなんだ。だから最近手に生傷が耐えないんだね笑
」
「バレてた?笑 料理って大変だねぇ」
あはは…と傷だらけの手で頭をかいた。