Voice
第3章 想い
探していた人は少し落ち着いた笑顔で少し年配そうなおじさんと会釈して、
「また、御来店お待ちしております。」
と言った。
「あぁ、また癒しにくるよ」
「では。」
ペコッと頭を下げて顔をあげた彼。
「まさっ…」
俺は名前を呼ぼうとしたら
「なんで…?翔ちゃん…ここにいるの?」
目をそらしながら聞いてきた。
「お前を探してたら…こんなとこに入り込んじゃって…」
そう言うと雅紀は
「なんで探すの?何年も連絡取り合ってなかったような奴のことをなんで?」
俺に理由を聞いてくる。
「心配…だったから…昨日会って…雅紀が前とは違ったから…」
「俺だって…あんなへらへらしてられないよ。」
暗い笑顔を見せる。
「なぁ、なんの仕事してんの?」
数秒の沈黙を俺が破って
気になってることを尋ねた。
「翔ちゃん…教えて欲しい?」
初めて俺と目を合わせて聞いてくる雅紀の顔は大人の表情をしていた気がした。
でも、なにも知らない無知な俺はその誘いに
「うん。」
乗ってしまったのだった。