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第1章 1.別れ
そして3ヶ月はあっという間に過ぎた。
受験する直前も合格する確率なんて僅かだった。
だけど
「翔ちゃんおめでとう!!」
「ありがと!」
俺は運良く合格した。
でも、正直不安だらけだった。
ついていけるのか?
そんな不安を雅紀にこぼした。
「翔ちゃん…翔ちゃんはできるの…俺知ってる」
「雅紀?」
ぎゅっ…
「え?まさ…き?」
雅紀は俺に抱きついた。
雅紀の香りがふわっと鼻を通った。
「翔ちゃ…ん…」
「雅紀どうした?」
「俺…俺ね…」
雅紀は一生懸命に何かを言おうとしていた。
そんなとき
「櫻井ー!お前、やったな!」
同じ志望校のやつが来て話し込んでしまった。
「翔ちゃん、俺…帰るわ!」
「ちょ、雅紀?」
呼び止めたが雅紀は帰ってしまった。
後日、何だったのか聞いてみたものの、
"ううん、何でもないよ!"って流された。
そのまま卒業式がきてお互いは別々の場所へ行った。
結局、何を言おうとしたのかわからないままだった。