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ドラクエ短編集(クリアリ)

第2章 今だけは…

私はただの城仕えの神官だから、アリーナ様の背負おうとしているそれを肩代わりすることはできないけれど、アリーナ様を支えることならできるかもしれない。

「アリーナ様…」

私はゆっくりと静かに語りかけた。

「私では力不足かもしれませんが…」

小さな背中をぽんぽんと軽く撫でながら続ける。

「辛いときは言って下さい。少しでも、あなたのお力になりたいのです」

「……」

アリーナ様は答えない。

…やっぱり私では力不足なんだろう。今までだって戦闘時にいつもアリーナ様に助けてもらってばかりだったし。

自分でわかってはいたものの、少し切なくなる。

「…やはり私では力不足ですよね…」


私がやや自嘲気味に言うと…





「違うの!!」

胸にしがみついたままのアリーナ様が、ぶんぶんと頭を横に振りながら言う。

「違うの!力不足とかじゃないの!」

顔を上げたアリーナ様の目には涙が光っている。

普段は見ないアリーナ様のそんな姿にドキリとした。

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