テキストサイズ

ドラクエ短編集(クリアリ)

第3章 大切な人※エロ注意!

「可憐なお嬢さん、こんな町外れの店に来ていただいたお礼に、あなたをイメージしたカクテルをプレゼントさせてください」

マスターがにっこり笑って言う。

「いえ、そんな…」

アリーナが断ろうとすると、周りの男たちが口々に言う。

「男ばかりでむさ苦しいと思ってたとこなんですよ。是非少しでも一緒に呑んでくれませんか」

「オレからもプレゼントさせてくれよ」

「ロッソが言うと怖がられるだけだぜ?」

どっと皆が笑った。

どうやら、ここにいるのは人のいい仲間たちのようだ。
アリーナは様子を見るためにも、1杯だけカクテルをもらうことにした。

「お嬢さんのイメージだと…」

マスターは慣れた手つきで何種類かのリキュールをシェーカーに入れると、シャカシャカと小気味よく振った。

細長いグラスに完成したカクテルが注がれる。
淡い琥珀色の液体が、ランプの灯りにキラキラと反射した。

「お嬢さんの美しさは、春の野に咲くトリムの花のようなので…それをイメージさせていただきました」

完成したカクテルがアリーナの前にすっと差し出される。

「…ありがとう」

受け取ったカクテルを、アリーナは一口飲んだ。

「おいしい…」

爽やかな柑橘系の酸味と甘味が程よく混ざり合って、カクテルだということを忘れてしまいそうに飲みやすい。

「気に入って頂けて光栄です」

マスターがほっとしたように微笑んだ。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ