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「…ふぅ…」

クリフトが大きくため息を吐いた。

そしておもむろに緑色の法衣を脱ぐと、できるだけアリーナを見ないようにしながら、彼女の上にそれをかけた。

「あッ……！」

アリーナは自分の今の姿に改めて気付き、急に恥ずかしさが襲ってきた。

クリフトも、先程までの冷淡な姿はどこへやら、顔を真っ赤にしてアリーナから極力目を逸らしながら彼女の手足のいましめを解く。

「アリーナ様にこんな思いをさせてしまい…このクリフト、謝罪の言葉もありません…」

ベッド脇にひざまずいて項垂れるクリフト。

「クリフト…いいの、助けに来てくれただけでもありがたいわ」

（クリフトの匂い……何だか安心する…）

アリーナはクリフトの法衣で自分をくるむようにしてその肌を隠しながら、胸いっぱいに薬草や香の香りが混ざった『クリフトの匂い』を吸い込んだ。

安心したことで気が緩んだのか、アリーナの頬を一筋の涙が伝う。

「！」

アリーナのただならぬ雰囲気にクリフトは思わず顔を上げ、頬を伝う涙に気付いた。

「アリーナ様……」

大切な人にこれほどまでに辛い思いをさせてしまった自分に悔しさが込み上げ、クリフトは拳をぎゅっと握った。